Crunchyroll Expo 2017 イベントレポート
TOPICS | 2017.09.22 up
こんにちは、PARKのキャラクターデザインを担当しているたなか麦です。
今回私は、2017年8月25日(金)~8月27日(日)にカリフォルニアのサンタクララコンベンションセンターにて開催されたCrunchyroll Expoに参加しました。
私は、PARKのクリエイターとして、同時に、「PARK: HARAJUKU Crisis Team!」のキャラクターを描いた者として、「PARK:HARAJUKU Crisis Team!」を原案に作られたアニメーション「URAHARA」の久保亜美香監督、脚本の高橋ナツコさんとともに、アメリカのメディアのインタビューや会場のパネル(トークショー)で、お二人とテレビアニメーションシリーズ「URAHARA」について、楽しくお話させていただきました。
そして、待望のPVが一足先にアメリカにて初公開となりました。
●PARKキャラクターと「URAHARA」について
私がキャラクターを描いた、PARKのキャラクターりと・ことこ・まりは、見た人に自由にストーリーを想像してもらいたいというコンセプトから、名前やファッションテイストなどの基本的な情報以外はあえて設定をつめていませんでした。
一方で、「URAHARA」の原案となるWebノベル「PARK: HARAJUKU Crisis Team!」は、Crunchyrollのパトリック・マシアスとともに制作したPARKキャラクターのスピンオフストーリーです。
パトリックが執筆したストーリーのりと・ことこ・まりは、PARKスタッフが当初考えていた3人像とはちょっと違って、りとはつらい過去を抱えていたり、ことこは政治経済を勉強する秀才だったり、まりはお裁縫が得意だったり、3人とも共通して、めちゃくちゃアンニュイでじっくり考える性格になっています。
テレビアニメーションシリーズ「URAHARA」は、このWebノベル「PARK: HARAJUKU Crisis Team!」を原案として、久保監督や脚本家の高橋ナツコさんが、メインの3人のキャラクターたちが「自分にとってクリエイティブとは何なのか?なぜクリエイティブしたいのか?」というテーマを据え、新たに生み出された作品です。
お二人やその他のスタッフのお話を聞いたり意見交換していくうちに、自分が描いたキャラクターたちがどんな風に成長し、どこにたどりついていくのか、とても楽しみになりました。
テレビアニメーションシリーズ「URAHARA」でも、メインキャラクターである、りと・ことこ・まりは、実際に原宿に存在する「PARK」という、オタク、ファッション、クリエイティブをテーマにしたお店でアルバイトしています。
そんな3人の女子高校生が、突如原宿を襲ってきた宇宙人「スクーパーズ」と戦うことになります。
自分たちの自己表現の場所であるPARK、ひいては原宿を守るために。
りと、ことこ、まりが心から守りたかったモノ、それはいったいなんなのか…?
それが、テレビアニメーションシリーズ「URAHARA」では、徐々に解き明かされていきます。
そんな「URAHARA」は、アニメーション制作会社「白組」さんの田中尚美プロデューサーのかけ声のもとに、EMTスクエアードさんが制作現場の中心となって、ただいま絶賛制作中ですのでどうぞお楽しみに…!
放送、私もとても楽しみです…!
●監督と脚本について
久保亜美香監督は、大学でアニメーション学科を専攻し、卒業制作の短編アニメーション「おはなしの花」が文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞。
数々の短編アートアニメーションを手がけられてきた方です。
そんな久保監督だからこそ、「URAHARA」は、久保監督の感性がつまった、久保監督にしか作れない作品となっていると思います。
これまで久保監督は、作品におけるテーマにはじまり、キャラクターデザインから世界観の構築、コンテ、編集…といった、全ての工程をお一人でやられてきたそうですが、今回、初めて、大勢のスタッフの皆さんと「一緒に物作りをしている」ということを実感していると同時に、そのことに新鮮さと感謝と幸せを感じていらっしゃるそうです。もちろん、アニメーションシリーズを制作するというのは、安易なことではないので、目の回るような多忙な日々を送られているそうですが。
高橋ナツコさんは、脚本家として長いキャリアを持たれていますが、「URAHARA」は、久保監督同様に、ある種の新鮮さを感じているそうです。そこには、既視感のない作品が仕上がっているという感じや、アートディレクターである久保監督の思い描く世界観に、おおいに感化され、こうしたらどうかな、とか、夜が更けるのも忘れて、スタッフさんたちと作り上げていく世界「URAHARA」が楽しみでならないからだそうです。
●キャラクター&作品の誕生について
PARKは、現在は竹下通りの横道にありますが、2014年のオープン当時は原宿のキャットストリートのさらに奥のほうにひっそりとあったのですが、その当時、たまたま近くにあったクランチロール日本支社のスタッフの方が、PARKを気に入ってくださり、「PARK:HARAJUKU Crisis Team!」の制作が始まりました。
PHCTの連載イラストは、私(たなか麦)が日中会社員をしていることもあり、なかなか更新できずにいましたが、世界中にアニメを配信するクランチロールを中心に、様々なプロフェッショナルなみなさんの力によってアニメ化が実現しました。
ちなみに、りと・ことこ・まりというオリジナルのキャラクターは、PARKの運営組織「UNITwww」の4人により性格・年齢・ファッションテイストなどの大まかな設定が練られ、それをもとに私(たなか麦)がイラストを描き起こしました。
PARKの運営組織「UNITwww」のメンバーの本業はアパレル店員のため、日常的に原宿ファッションに触れていますが、私(たなか麦)はファッションに詳しくないため、KERAやNYLON、FRUITSなどの雑誌に載っている原宿のストリートスナップを見て、ファッションに関して日々、勉強しています。
テレビアニメーションシリーズ「URAHARA」をご覧になったあと、みなさんが、実際に原宿に行ってクレープを食べたり竹下通りの人ごみにもまれたり、キャットストリートを散策したりして……URAHARAの世界に入り込んでいただけたらうれしいです。
●たなか麦のバックグラウンド
私は、小さい頃はPEANUTSの漫画をばらばらになるまで読み返し、スヌーピーたちを模写していました。大人になってからは東方プロジェクトにはまり、コミケで大量の同人誌やアレンジCDを買いまくっていました。それと同時に美少女ゲームにもはまり、可愛い女の子を描くという流行に自然と乗っかる形で(笑)、今にいたっています。
先日フォーブス(Forbes.com)でも紹介されましたが、OLとして働くかたわらで、キャラクターの原案を描いたのですが、アニメ化にあたって、わたしはアニメの制作には関わっていませんが、たくさんのプロフェッショナルな方々と出会い、触れあうことによって、みなさんが作品を精密に作りこまれていく姿を見ることができ、とても勉強になりました。
わたしは、日中の仕事は営業職なので、車で外に出かけて春は川沿いの桜並木を見たり、夏はジュース片手に公園でゲームしてさぼったり、冬はたい焼きを買い食いしてみたり、外に出て街の空気を感じられるのがいいところです。
イラストは、基本的にラフから彩色仕上げまで家にこもってやる工程がほとんどなので、日中の仕事で得た刺激や風景のイメージを思い出しながら作業できるのが、ダブルワークの長所です。
そして、自分の作品を自費出版しようと思ったきっかけは、東方同人にはまっていたころ、コミケに行って同人誌を買いまくっていたので、絵をかいたら印刷して発表するという流れに自然に憧れるようになりました。
コミケは本やイラストに限らず、音楽、ゲーム、立体物などさまざまな表現とジャンルがあるので、何かを作って発表したいと思ったエネルギーを必ず受け止めてくれる場です。見る側としては、作品の実物を購入したり作家と直接触れ合える数少ないチャンスだと思います。
つい先日夏コミがありましたが、3年ぶりにコミケに参加して、以前より外国の方が増えた印象があります。(自分のスペースに来た人に限らず)コミケに参加するたびに、普段インターネットでしか話したことがない人が来てくれたりするので、交流が深まるのがとてもうれしいです。
今回は、コミケに来てくれた方が楽しめるよう、「CO;RYU」(PARKの新しいアニメプロジェクト)のメイちゃんのおめんとステッカーを用意したりしました。
今回のコミケは、私のこれまでの総集編という意味合いで、今まで描いた絵の中から発表できるものを120点近くあつめました。
ちなみに、私が一番好きな工程は、出来上がった本の物理的な厚さや重みを手に取って感じるところです。画面で見るより印刷物のほうが情報量が多いので、ページに顔を近づけてじっくり見るのも楽しいです。一番つらい工程は、データに誤字脱字や画像のズレがないか確認するところです。この時点では締め切りが数時間後に差し迫っていることが多く、精神的に追い詰められながら修正作業をすることになります。
●最後に、テレビアニメーションシリーズ「URAHARA」について。
「URAHARA」のスタッフの方々は、久保監督を中心に何度も話し合いを重ね、一度できたシナリオを一旦全て破棄して、また新たに作り直したり、試行錯誤を重ねられたそうです。
現在、眠る間もなくアニメを制作している現場の方からも、「このエピソードがすごく共感できる」という声が多数上がっており、とくに日常でクリエイティブに関わっている人は、必ず体験したことがあるようなエピソードが盛り込まれています。
人は生きている限り、必ずどこかでクリエイティブをしています。だからこそ、この作品のシナリオは今までにないものでありながら必ず共感できるストーリーになっているのではないかな、と思います。
私がそうであるように、みなさんも、放送を楽しみにしていただけたら幸いです。
TVアニメ「URAHARA」
公式WEBサイト : http://urahara.party/
公式twitter : @urhr_pt
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